医療法人真愛会 真鍋クリニック

東京都羽村市にある眼科・耳鼻科クリニックのブログです。

お子さまの斜視について

こんにちは!

東京都羽村市にある医療法人真愛会 真鍋クリニックです。

 

今日も相談者様からのご質問に回答していきます。

 

 

現在12歳の息子についてですが、1年ほど前に気が付いたのですが、斜視が発現しておりました。そのままにしておいても問題ないでしょうか?

40代・男性

 

 

お子さまの斜視についてのご相談です。

 

斜視には大きく分けて「内斜視」と「外斜視」の2種類に分けられます。

斜視の治療方法には①経過観察(何もしないで様子を見る)か、②プリズム眼鏡か、③手術の3つの選択肢のどれかを取ることが多いです。

 

内斜視、外斜視、どちらの斜視の場合にも、日常生活に支障がない場合には、①の経過観察で、そのまま様子を見ていたいだても問題はありません。

 

プリズム眼鏡、もしくは③手術の適応となる場合の例としては、正面視(真っ直ぐ前を見た状態)で物が二重に見えるなどの「複視」の症状がある場合や、小さいお子さまなどで斜視が原因で視力の向上が難しい場合などで、かなり限られます。

 

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『プリズム眼鏡』 (Copyright © 株式会社高田眼鏡店様)

 

よってほとんどの方は①経過観察で過ごすことが多いのですが、一つだけ例外があるとすると「美容的な意味」で手術を選択するケースです。

 

要は、「見た目が気になるので手術をしたい」というご要望です。

 

この場合、日常生活には支障がないケースが多いため、手術適応は慎重に決定する必要があります。なせなら、手術を行うことで、かえって複視の症状が出てしまうケースがあるからです。

 

また、斜視の手術は「目の周りの筋肉を緩めたり、縮めたりすることで目の向きを変える」手術になりますので、手術の負担としてはやや大きい手術になります。

 

小さいお子さまの場合は全身麻酔での手術が必要になります。

 

ですので、斜視の手術はより慎重に決定する必要があります。

 

ご相談者様の場合は、まだ日常生活に支障は出ていないケースかと思いますので、一旦そのまま様子を見ていただいて問題ないでしょう。

 

ご相談ありがとうございました!

健康診断で「動脈硬化性変化」と判定されました。

こんにちは!
東京都羽村市にある医療法人真愛会 真鍋クリニックです。

 

今日も相談者様からのご相談に回答していきます。

 

来月から健康診断や人間ドックのシーズンに入って来ます。


今年は昨年に続いてコロナウィルスの影響で、健康診断が満足に受けられない人も多いのではないでしょうか。個人的には必ずしも毎年の健康診断は必要ないとは思いますが、それでも定期的に検査を受けておくのは大事ですね。

 

今日は人間ドックでの眼底写真の結果についてのご相談です。

 


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人間ドックでの眼底検査にて、「動脈硬化性変化」と判定され、「12ヶ月後に眼科または健診で経過観察してください」と診断されました。

 

具体的にはどういった状況なのでしょうか?

 

(50代・男性)

 

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人間ドックで「動脈硬化性変化」と判定された方からのご相談です。

 

動脈硬化性変化」とは、その言葉の通り、「目の血管に“動脈硬化”の変化が見られますよ」ということですね。

 

目というのは、ヒトの体の中で唯一直接血管を見ることが出来る臓器です。

つまり、糖尿病高血圧など、いわゆる生活習慣病と呼ばれる病気は全身の血管の異常が出てきます。

眼科で行う眼底検査という検査は、目を通して直接血管を観察することで、生活習慣病をはじめとする様々な病気の程度が判断できる、という非常に侵襲性の低い(=痛みの少ない)検査なんですね。

 

例えば、糖尿病の三大合併症は


① 腎臓
② 足や手の指
③ 目の「網膜」


に症状が出ます。

詳しくはこちらの記事をご覧ください↓↓

www.shinaikai.jp

 

 

糖尿病網膜症は、眼底出血や網膜の循環障害を引き起こし、ある日突然大量に出血することもありますので、朝起きたら視界が真っ暗!なんてこともある怖い病気です。

日本人の中途失明の原因疾患の第2位でもありますね。

 

動脈硬化は、糖尿病や高血圧など、すべての生活習慣病の元になりますので、注意が必要です。

 

相談者様の場合は、「12ヶ月後に眼科または健診で経過観察してください」との診断だったとのことですので、急な処置が必要な状態ではないと言えます。

 

ただし、今まで血糖値や血圧に異常がなくても、「隠れ糖尿病」や「隠れ高血圧」が、目の健康診断や人間ドックで見つかることもありますので、一度内科などで診てもらうのもよろしいかもしれません。

 

ご相談ありがとうございました。

昼間はよく見えているが、夜になると文字が霞んでくる。

こんにちは!
東京都羽村市にある、真鍋クリニックです。

 

本日も相談者様からのご質問に回答させていただきます。

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眼科でコンタクトレンズを購入しました。

 

昼間は問題なく見えているのですが、夜になると看板などの文字が霞んで見えるなど見えにくくなります。

 

 以前はそんなことなかったのですが、ここ1~2年そういう状況が続いています。

 

何か考えられる原因や、改善策はありますか?

 

(30代・女性)
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ご相談ありがとうございました。

コンタクトをされていて、夜になると看板などの文字が霞んで見えるというご相談ですね。

 

午前中やお昼過ぎまでは特に見え方に問題がなく、夕方以降に見え方が悪くなるという症状は、日中、目の使いすぎやパソコン、スマートフォンなどの画面を長時間見ていたせいで、“目の表面が乾いている状態”、つまりドライアイになっている可能性などが考えられるかと思います。

 

ある研究では、パソコンなどのモニターを見る仕事を1日8時間以上されている方のうち、8割の方にドライアイがみられた、という報告もあります。

 

最近ではVDT症候群などとも言われ、新型コロナウィルス感染症の影響で在宅勤務の方が増えている今、非常に患者さんが増えている病気でもあります。

 

ドライアイの対策には、点眼薬を使うことが重要です。

ドライアイの治療法についてはまた改めて詳しく解説しますが、この方の場合は、薬局に行くとコンタクトレンズの上からでも使える点眼薬などがありますので、1日の中でこまめに点眼薬などを使いながら様子を見てみるのがよろしいかと思います。

 

ご相談いただきありがとうございました。

花粉症の薬の使い方のコツ 〜内服薬・点鼻薬・点眼薬〜

さて、今年もこの季節がやってきてしまいました。

そうです、花粉症ですね😂

 

花粉症を医学的に表現すると、
アレルギー性結膜炎」と「アレルギー性鼻炎

になります。

 

アレルギー性結膜炎」は、目の痒みや目ヤニ、充血などの症状を引き起こし、「アレルギー性鼻炎」はくしゃみ、鼻水、鼻詰まりなどの症状を引き起こします。

 

これらは全て、花粉に対するアレルギー反応(花粉の種類はスギやヒノキ、ブタクサ、シラカバなど季節により様々です)が原因で起きてくるものです。たまにハウスダストなどに対するアレルギーで、同じ症状をお持ちの方もいらっしゃいますが、これは厳密に言えば花粉症ではありません。

 

さて、最近では日本人の2人に1人は花粉症であると言われ、もはや国民病と行っても過言ではない花粉症ですが、症状を和らげるためにみなさん毎年お薬を使われているかと思います。

 

花粉症に対する薬には大きく分けて、「内服薬」、「点鼻薬」、「点眼薬」の3種類があります。

これらのカテゴリーの中には数種類(場合によっては数十種類)の薬が存在するので、どの薬を使えばいいのか分からないことも多く、ほとんどの人が医者に言われるがまま処方をしてもらっているか、もしくは薬局などで何となく自分で選んでみたり、薬剤師さんに聞いて良さそうなものを選んでいたりするかと思います。

 

ところが注意して欲しいのが、(花粉症の薬に限らず)薬にはその人に合う、合わないがあります。

 

ある人にとっては効果のあった薬が、別な人にとっては全く効果がないとまでは言わなくとも効果が低い、なんてことも起こり得るわけです。

 

つまり、花粉症の薬の効果も人それぞれ効きやすい、効きにくいがありますので、最終的には自分に合った薬が何なのか?を知っておく必要があります。

 

そこで、今回は病院で処方してもらえる代表的な薬について、「内服薬」、「点鼻薬」、「点眼薬」のそれぞれについて解説して行こうと思います。

 

 

1. 内服薬について

まずは内服薬についてです。よくTVのCMなどで“眠くなりにくい”とか、“一日一回飲めば効く!”みたいな宣伝文句が流れているかと思いますが、今日は「眠くなりやすさ」と「効き目」の2軸で花粉症の薬を分けて説明してみようと思います。

 

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内服薬の強さと眠気との関連

代表的な6種類の内服薬を、横軸に薬の強さ、縦軸に眠気の強さでザックリ分類してみました。あくまでも参考程度ですので、前述した通りこれ厳密に言えば個人差があります。

 

よくTVCMで見るのはアレグラ、アレジオン辺りでしょうか。これらは比較的効果もマイルドで、眠くなりにくいとされています。アレグラは一日2回内服が必要です。

 

「デザレックス」という薬は比較的新しいお薬で、以前からあった、「クラリチン」というお薬を改良したものです。眠気が少なく、アルコールの影響が少ないことから、お酒を飲む機会が多い人、車を運転することが多い人などにおすすめです。

 

また「ビラノア」も新しいお薬で、眠気が少なく、効果が高い薬として注目されていますが、注意点として空腹時に服用しなければならず、若干服用のタイミングを選ばないといけないところが使いにくい点かもしれません。

 

特に花粉症の薬を飲む際に注意が必要なのは、車の運転になるかと思います。
日中から運転をよくされる方は眠くなりにくいタイプの薬を選び、多少が眠気が出ても効果がしっかり出て欲しい、という方は十分に注意した上で薬を選ぶようにされてください。 

 

2. 点鼻薬について

続いては点鼻薬についてです。内服薬や点眼薬に比べるとあまり使用される頻度は少ないかもしれませんが、実は単独で使用する場合、内服薬よりも点鼻薬の方が効果が出る、という報告もありますので、実は大切なお薬です。

 

点鼻薬にもいくつか種類があるのですが、ここでは一番よく使われているステロイド点鼻薬について少し解説します。

 

ちなみに、市販されている点鼻薬のほとんどは「血管収縮薬」タイプの点鼻薬になりますが、これは即効性がある(15分以内には効果が実感できる)反面、使い続けているうちに効果が減弱してきますので、ここは注意が必要です。

 

さて、本題のステロイドの薬というと、副作用などが怖いイメージがあるかもしれませんが、点鼻薬は主に鼻の粘膜のみに作用し、全身に回る量はごくごく僅かです。ですので、内服や注射のステロイドとは全く別物と考えていただいて問題ありません。

 

ステロイド点鼻薬にはさらに大きく分けて、スプレータイプ(液状)のものと、噴霧タイプ(粉末状)のものがあります。代表的な点鼻薬を下に挙げます。

 

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ステロイド点鼻薬の種類と用法

スプレータイプも噴霧タイプもどちらも効果は変わりませんが、しっかりとした使用感を感じられるのはスプレータイプで、少し刺激に弱い方などは噴霧タイプの点鼻薬を選ぶと良いかと思います。

 

ナゾネックスやアラミストは、2歳以上のお子さまでも使うことができます。

 

3. 点眼薬について

最後に点眼薬についてです。主に花粉症などのアレルギー性結膜炎の治療に使われる点眼薬は2種類あります。抗アレルギー薬(抗ヒスタミン薬含む)と言われる点眼薬と、ステロイドの点眼薬です。これらを使い分けて治療をおこないます。

 

ただし、点眼薬の選び方は、これだけで覚えておけば大丈夫です。

コンタクトレンズをしているかどうか

です。

 

抗アレルギー薬はどれも効果や用法の差はないのですが、唯一、コンタクトレンズの上から使えるものと、使えないものに分けることができます。

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点眼薬の種類と用法

アレジオンだけコンタクトレンズ装用者でも使える理由は、「BAC(ベンザルコニウム塩化物)」と呼ばれる防腐剤を含んでいないためです。防腐剤はコンタクトレンズの洗浄液で落とすことが出来ないため、コンタクトレンズの上から点眼薬は使えないのです。

 

そして、抗アレルギー薬で痒みがおさまらないほどの症状がある場合に、ステロイド点眼の出番になります。ステロイド点眼薬は、フルメトロン®︎という点眼薬のほぼ一択で、濃度が2種類ほどありますが、ご年齢などによって使い分けてみてください。

 

やはり点眼薬においてもステロイドは・・・という方もいらっしゃる方もいるかもしれませんが、フルメトロン®︎というステロイドは、ステロイドの中でも非常に弱いステロイドになりますので、副作用の心配はほとんどありません。ただし、100%副作用が出ない、という訳ではないので、ステロイド点眼を処方されている期間は、眼科での定期的なチェックを受けるようにされてくださいね。

 

 

以上、花粉症の「内服薬」、「点鼻薬」、「点眼薬」の種類と使い方のコツでした💡

花粉症は、症状がで始める前から薬を使い始めることで、症状が軽減できることが分かっています。早め早めの対策を取っていきましょう!

 

最近目の下がプルプルします。

こんにちは!

東京都羽村市にある医療法人真愛会の真鍋クリニックです。

本日も相談者様からのご相談に回答していきます。

 

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普段1日使い捨てのコンタクトをしています。

仕事柄、装用時間が長いから気をつけるようにとお医者さんからは言われています。

(だいたい6:00〜22:00くらい付けています。)

相談内容としては、最近左目の下がプルプルします

原因として考えられることはどの様なことでしょうか。

 

(40代・男性)

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普段から使い捨てのソフトコンタクトレンズをされていて、一日10時間以上の装用時間がある方が、最近目の下がプルプルとします、と言うご相談です。

 

一日にコンタクトレンズを10時間以上装用される、ということですのでかなりの長時間装用者になるのかと思います。

 

「目の下がプルプルする」とおっしゃるのはおそらく目の下まぶたが痙攣している状態かと思います。

 

 

いわゆる「まぶたが痙攣する病気」と言うのは大きく分けて3つあります。

 

  1. 眼瞼ミオキミア

  2. 眼瞼痙攣

  3. 顔面痙攣


の3つがありますが、それぞれが全く違う病気になります。

 

ただし、日常的に経験するまぶたの痙攣のほとんどは、1番目の「眼瞼ミオキミア」と呼ばれるもので、片方の目(時に両目)の上まぶたや下まぶたがピクピクと痙攣するものです。

 

この原因として一番多いのは、いわゆる“疲れ目”です。


同じ様な症状をお持ちの方で、本や漫画、最近だとパソコンやスマホをじっくり見すぎて目を酷使したり、睡眠不足であったりすると、症状が起きる事が多くはないでしょうか?

 

これは疲れや、ストレスが誘因となって起きてくるものですので、放っておいても自然と良くなります。

 

特に治療の必要はなく、目を休めていただく事でそのうち気にならなくなると思います。

 

あまり心配する必要のないものですが、もし不安があればお近くの眼科医に相談されてみてくださいね。眼精疲労の点眼薬などを処方してもらってもよろしいかと思います。

 

ご相談いただきありがとうございました。

 

眼瞼痙攣と顔面痙攣についてはまた改めて解説させていただきますね!

シコリのある「ものもらい」は点眼で治るのか?

こんにちは!
東京都羽村市にある医療法人真愛会 真鍋クリニックです。

本日も相談者様からのご相談に回答していきますね。


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先日、左上のまぶたに違和感を感じ、近くの眼科で「ものもらい」と診断されました。

点眼薬を処方してもらい、1週間経ってもあまり変わらないので再度受診し、抗生物質を処方してもらいました。

しかしその後も改善がないので再度受診し、軟膏薬を処方してもらいました。

その後も、点眼薬がなくなり再度処方してもらい今に至っています。

少しずつは小さくなってるようですが、未だに豆粒のようにまぶたの上にあります。多少ですが視界にも入ります。気長に点眼薬で様子を見た方が良いのでしょうか?

(50代・女性)

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眼科で「ものもらい」と診断されて、点眼薬や軟膏薬、飲み薬の抗生剤などを服用したが、なかなか治らずに、豆粒の方な“しこり”が残ってしまっているのですね。

もちろん実際に拝見をしていないので確実なことは言えませんが、これはもしかすると、いわゆる「ものもらい(医学的には麦粒腫といいます)」ではなく、「霰粒腫」という、ものもらいの親戚の様な病気かもしれません。

実際に診察した際にも見分けが付きにくいこともあるのですが、いわゆる「ものもらい」の典型的な症状は、まぶたが赤く腫れ、触ると痛みがあるもので、点眼薬や軟膏薬を使うことでしこりなどを残さずに完治することが多い病気です。

一方、ものもらいの親戚の「霰粒腫」は、ものもらいと同じ様にまぶたが赤く腫れますが、最大の違いは、“しこりが中に残っている”点です。

真っ赤に腫れている時はご自身でも“しこり“に気が付きにくいので、「麦粒腫(=ものもらい)」と「霰粒腫」は見分けにくいことが多いのですが、腫れが引いてくると違いが分かります。

腫れを引かすまでの治療は「麦粒腫」も、「霰粒腫」も同じ治療を行いますが、しこり“は点眼薬や軟膏薬では治せませんので、最終的には切開をして、排膿する処置が必要になります。

相談者様の場合、「豆粒の様なものが残ってしまっている」との事ですので、この場合の診断は、「麦粒腫(ものもらい)」ではなく「霰粒腫」かもしれませんね。

日常生活に支障がなければ、しこり自体はそのままにしておいても問題のないものですが、完全にしこりをなくすためには、少し切開をして、中にあるしこりを出す必要があるかもしれません。

切開をすると、約1週間後に抜糸などの処置が必要となるケースもありますので、1週間程度はまぶたの腫れなどが残ると思っておいていただくといいでしょう。

切開については、再度お近くの眼科でご相談されてみるのがいいでしょう。

 

ご相談いただきありがとうございました。

 

当院 でも、霰粒腫の切開手術(日帰りで、30分程度で行えます)を数多く行っていますので、お気軽にご相談ください☆

それでは今年もよろしくお願いいたします。

緑内障で失明したら、二度と見える様にならないのか?

こんにちは!
東京都羽村市にある医療法人真愛会 真鍋クリニックです。

 

今日も相談者様からのご相談に回答していきますね。

 

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緑内障で失明したらもう二度と見えるようにはならないのでしょうか?


IPS細胞とか期待はもてますか?

(40代・女性)

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緑内障による失明についてですね。

 

眼科学の中では、失明には2種類あります。


一般的な失明のことを指す「社会的な失明」と、「医学的に完全な失明」です。

 

 

社会的失明」の定義は、「字が読みにくくなる状態(矯正視力0.1以下ぐらい)」とされており、少なくとも“真っ暗で何も見えなくなる状態”ではありません。

 

一方、緑内障などの病気による「医学的失明」の場合は、視力を失い、光をほとんど感じなくなるくらいの状態にもなり得ます。

 

緑内障などの病気による失明は、「医学的に完全な失明」に当たるケースが多いかと思います。

 

緑内障という病気は、「周辺から、徐々に視野が欠けてくる」病気ですが、病気の最期には、視野の中心部分を残して大部分の視野が損なわれます。

 

緑内障は「不可逆性の病気」(=一度進行すると元に戻らない病気)ですので、一度失ってしまった視野が元に戻ることはありません。ですので、何よりも早期に発見し、早期に治療を行うことが非常に重要になるのです。

 

また、一度緑内障の診断が付いた場合は、基本的には生涯を通じて点眼薬が必要になりますので、これも患者さんにとって大きな負担になります。

 

ですので、最初のご質問に戻ると、緑内障で失明した場合、残念ながら「二度と見える様にはなりません。

 

 

現在、iPS細胞の研究が進んでいるのは、主に網膜分野で、「加齢黄斑変性症」という病気に対しての研究が進んでいます。ただし、iPS細胞を使った治療が可能になったとしても、完全な失明状態にあった患者さんが、「視力で0.01程度、視野を少し広げる」程度の効果しか、現在では期待出来ません。

 

まだまだこれからさらなる研究が必要な分野ですので、少なくとも5年〜10年程度は待つ必要があるかもしれませんん。

 

ただし、将来的に緑内障の治療が可能な日は来るかもしれませんので、諦めずに治療をお続けくださいね。

 

 

ご相談ありがとうございました。