花粉症の薬の使い方のコツ 〜内服薬・点鼻薬・点眼薬〜
さて、今年もこの季節がやってきてしまいました。
そうです、花粉症ですね😂
花粉症を医学的に表現すると、
「アレルギー性結膜炎」と「アレルギー性鼻炎」
になります。
「アレルギー性結膜炎」は、目の痒みや目ヤニ、充血などの症状を引き起こし、「アレルギー性鼻炎」はくしゃみ、鼻水、鼻詰まりなどの症状を引き起こします。
これらは全て、花粉に対するアレルギー反応(花粉の種類はスギやヒノキ、ブタクサ、シラカバなど季節により様々です)が原因で起きてくるものです。たまにハウスダストなどに対するアレルギーで、同じ症状をお持ちの方もいらっしゃいますが、これは厳密に言えば花粉症ではありません。
さて、最近では日本人の2人に1人は花粉症であると言われ、もはや国民病と行っても過言ではない花粉症ですが、症状を和らげるためにみなさん毎年お薬を使われているかと思います。
花粉症に対する薬には大きく分けて、「内服薬」、「点鼻薬」、「点眼薬」の3種類があります。
これらのカテゴリーの中には数種類(場合によっては数十種類)の薬が存在するので、どの薬を使えばいいのか分からないことも多く、ほとんどの人が医者に言われるがまま処方をしてもらっているか、もしくは薬局などで何となく自分で選んでみたり、薬剤師さんに聞いて良さそうなものを選んでいたりするかと思います。
ところが注意して欲しいのが、(花粉症の薬に限らず)薬にはその人に合う、合わないがあります。
ある人にとっては効果のあった薬が、別な人にとっては全く効果がないとまでは言わなくとも効果が低い、なんてことも起こり得るわけです。
つまり、花粉症の薬の効果も人それぞれ効きやすい、効きにくいがありますので、最終的には自分に合った薬が何なのか?を知っておく必要があります。
そこで、今回は病院で処方してもらえる代表的な薬について、「内服薬」、「点鼻薬」、「点眼薬」のそれぞれについて解説して行こうと思います。
1. 内服薬について
まずは内服薬についてです。よくTVのCMなどで“眠くなりにくい”とか、“一日一回飲めば効く!”みたいな宣伝文句が流れているかと思いますが、今日は「眠くなりやすさ」と「効き目」の2軸で花粉症の薬を分けて説明してみようと思います。
代表的な6種類の内服薬を、横軸に薬の強さ、縦軸に眠気の強さでザックリ分類してみました。あくまでも参考程度ですので、前述した通りこれ厳密に言えば個人差があります。
よくTVCMで見るのはアレグラ、アレジオン辺りでしょうか。これらは比較的効果もマイルドで、眠くなりにくいとされています。アレグラは一日2回内服が必要です。
「デザレックス」という薬は比較的新しいお薬で、以前からあった、「クラリチン」というお薬を改良したものです。眠気が少なく、アルコールの影響が少ないことから、お酒を飲む機会が多い人、車を運転することが多い人などにおすすめです。
また「ビラノア」も新しいお薬で、眠気が少なく、効果が高い薬として注目されていますが、注意点として空腹時に服用しなければならず、若干服用のタイミングを選ばないといけないところが使いにくい点かもしれません。
特に花粉症の薬を飲む際に注意が必要なのは、車の運転になるかと思います。
日中から運転をよくされる方は眠くなりにくいタイプの薬を選び、多少が眠気が出ても効果がしっかり出て欲しい、という方は十分に注意した上で薬を選ぶようにされてください。
2. 点鼻薬について
続いては点鼻薬についてです。内服薬や点眼薬に比べるとあまり使用される頻度は少ないかもしれませんが、実は単独で使用する場合、内服薬よりも点鼻薬の方が効果が出る、という報告もありますので、実は大切なお薬です。
点鼻薬にもいくつか種類があるのですが、ここでは一番よく使われているステロイドの点鼻薬について少し解説します。
ちなみに、市販されている点鼻薬のほとんどは「血管収縮薬」タイプの点鼻薬になりますが、これは即効性がある(15分以内には効果が実感できる)反面、使い続けているうちに効果が減弱してきますので、ここは注意が必要です。
さて、本題のステロイドの薬というと、副作用などが怖いイメージがあるかもしれませんが、点鼻薬は主に鼻の粘膜のみに作用し、全身に回る量はごくごく僅かです。ですので、内服や注射のステロイドとは全く別物と考えていただいて問題ありません。
ステロイドの点鼻薬にはさらに大きく分けて、スプレータイプ(液状)のものと、噴霧タイプ(粉末状)のものがあります。代表的な点鼻薬を下に挙げます。
スプレータイプも噴霧タイプもどちらも効果は変わりませんが、しっかりとした使用感を感じられるのはスプレータイプで、少し刺激に弱い方などは噴霧タイプの点鼻薬を選ぶと良いかと思います。
ナゾネックスやアラミストは、2歳以上のお子さまでも使うことができます。
3. 点眼薬について
最後に点眼薬についてです。主に花粉症などのアレルギー性結膜炎の治療に使われる点眼薬は2種類あります。抗アレルギー薬(抗ヒスタミン薬含む)と言われる点眼薬と、ステロイドの点眼薬です。これらを使い分けて治療をおこないます。
ただし、点眼薬の選び方は、これだけで覚えておけば大丈夫です。
「コンタクトレンズをしているかどうか」
です。
抗アレルギー薬はどれも効果や用法の差はないのですが、唯一、コンタクトレンズの上から使えるものと、使えないものに分けることができます。
アレジオンだけコンタクトレンズ装用者でも使える理由は、「BAC(ベンザルコニウム塩化物)」と呼ばれる防腐剤を含んでいないためです。防腐剤はコンタクトレンズの洗浄液で落とすことが出来ないため、コンタクトレンズの上から点眼薬は使えないのです。
そして、抗アレルギー薬で痒みがおさまらないほどの症状がある場合に、ステロイド点眼の出番になります。ステロイド点眼薬は、フルメトロン®︎という点眼薬のほぼ一択で、濃度が2種類ほどありますが、ご年齢などによって使い分けてみてください。
やはり点眼薬においてもステロイドは・・・という方もいらっしゃる方もいるかもしれませんが、フルメトロン®︎というステロイドは、ステロイドの中でも非常に弱いステロイドになりますので、副作用の心配はほとんどありません。ただし、100%副作用が出ない、という訳ではないので、ステロイド点眼を処方されている期間は、眼科での定期的なチェックを受けるようにされてくださいね。
以上、花粉症の「内服薬」、「点鼻薬」、「点眼薬」の種類と使い方のコツでした💡
花粉症は、症状がで始める前から薬を使い始めることで、症状が軽減できることが分かっています。早め早めの対策を取っていきましょう!